はじめに|照明は「最後」に決めると失敗します
家づくりやマンション購入で、
意外と後回しにされがちなのが「照明計画」です。
一級建築士として数多くの住宅を見てきましたが、
- なんだか落ち着かない
- おしゃれなはずなのに居心地が悪い
- 夜になると疲れる
こうした住まいの多くに共通しているのが、
「照明の考え方」を知らないまま決めてしまっていることです。
実は照明は、
- 失敗に気づきにくい
- やり直しがしにくい
- 毎日ストレスになる
という、住宅の中でも後悔しやすいポイント。
この記事では、
- なぜ照明で失敗する人が多いのか
- 一級建築士が実際によく見る後悔例
- 後悔しないために最低限考えるべきこと
を、専門用語を使わずにわかりやすく解説します。
なぜ照明は失敗しやすいのか?
図面だけでは完成後を想像しにくい
照明は、平面図やパースでは実際の明るさ・影・眩しさが分かりません。
キッチンや床材のように「形」が見えないため、
「とりあえず標準で」
「いつもの配置で」
と流されやすく、結果として違和感がある空間となってしまいます。
「とりあえずダウンライト」が危険な理由
最近の住宅では、ダウンライトが当たり前になっています。
見た目はすっきりしますが、
- 位置を後から変えられない
- 真下が眩しくなりやすい
- 明るさのムラが出やすい
という弱点もあります。
「ダウンライト=無難」ではありません。
考えずに数だけ増やすと、落ち着かない家になります。
「照明は後で変えられる」という誤解
照明器具自体は交換できますが、
- 天井の配線位置
- スイッチの場所・回路
は、簡単に変えられません。
後回しにすると
- できる照明が限られる
- 選択肢が減る
- 妥協する
という流れになりがちです。
一級建築士がよく見る「照明の失敗例」
部屋全体を明るくしすぎている
「暗いより明るい方がいい」と考えて、
- ダウンライトを大量に設置
- 四隅+中央を均一に配置
すると、明るすぎて落ち着かない空間になります。
これは、
- 病院
- オフィス
- 店舗
のような印象になりやすく、
住宅には不向きです。
ダウンライトだけで完結させている
天井照明だけだと、
- 影が生まれにくい
- 空間がのっぺりする
- 奥行きを感じにくい
結果として「くつろげない家」になります。
間接照明やスタンドライトを組み合わせるだけで、
印象は大きく変わります。
生活シーンを想定していない
同じ部屋でも、
- 食事
- テレビ
- スマホ
- 読書
- デスクワーク
- ベッドでくつろぐ
必要な光はまったく違います。
「その部屋でどう過ごすか」から考えないと失敗します。
照明計画で本当に大切な考え方
大切なのは「明るさ」ではなく「居場所」
住宅照明で大切なのは、
❌ 部屋を均一に明るくすること
⭕ 人が落ち着く場所をつくること
明暗があるから居心地がよくなる
すべてを照らす必要はありません。
- ソファ周り・寝室 → 少し暗め
- ダイニングテーブル → しっかり明るく
- 壁や床 → 光のグラデーション
明暗の差=居心地の良さです。
自然光と同じで、ムラがある方が人は落ち着きます。
電球色・昼白色・昼光色の考え方
色温度は、
- 統一する
- 場所で使い分ける
どちらも正解ですが、
住宅では使い分ける方が快適です。
違和感が気になる場合は、
- 調光・調色タイプのダウンライト
- 天井照明(色温度統一)+置き型照明
でも対応できます。
家のタイプ別|照明の考え方
新築戸建て
最重要なのは配線計画。
- コンセント
- スイッチ
- 照明用電源
「将来こうするかも」という余白を残すことが大切です。
特に寝室の枕元スイッチ・コンセントを入れずに後悔は多いポイント。
夜に寝室からトイレへの動線に照明スイッチがあるかも要確認です。
新築マンション
オプション照明は、
家具配置と生活を想像してから決めましょう。
- ベッドの真上にダウンライト
- 明るすぎるリビング
は後悔しやすいです。
廊下・トイレ・収納前はダウンライト向き。
賃貸・既存住宅
工事ができなくても照明は変えられます。
- フロアライト
- テーブルライト
- クリップライト
光の高さを下げるだけで落ち着く空間になります。
後悔しないために最低限覚えてほしい3つ
- 部屋ごとに「何をする場所か」を考える
- 全体照明+部分照明で考える
- 具体的な過ごし方を想像する
これだけで、照明の失敗は大幅に減ります。
まとめ|照明は「おしゃれ」より「暮らし」
照明は、
- 高ければいい
- 多ければいい
ものではありません。
考え方を知るだけで後悔は防げます。
家づくり・住まい選びでは、
ぜひ「最後」ではなく「最初」に照明を考えてみてください。

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